一生に一度は、
日本一の頂へ。
初心者スタッフの富士登山準備ログ
Vol. 1
「いつか」を「今」に。
スタッフ2人の富士山挑戦ログ。
A&Fカントリーに入社して以来、ずっと心のどこかにあった「登山への憧れ」。けれど、日々の忙しさを理由に、なかなか一歩を踏み出せずにいた二人。そんな時、舞い込んだ「企画で富士山に登ってみない?」という誘い。「今登らなかったら、一生登らないかもしれない」直感に突き動かされるように、二人の日本一への挑戦が突如として始まりました。
とはいえ、二人は正真正銘の登山初心者。期待よりも、正直なところ「不安」の方が大きいのが本音です。「装備は何を揃えればいいの?」「体力は持つの?」「ザックはどう選ぶのが正解?」そんな疑問を解消すべく、登頂経験豊富な先輩スタッフや有識者を訪ね、道具選びの真髄から登山の作法まで、ゼロから徹底的に学びます。
本連載では、二人が富士山に向けて準備を整えていくリアルなプロセスを、毎月ドキュメンタリー形式でお届けします。これから富士山を目指すあなたも。いつか登りたいと思っていたあなたも。スタッフ二人と一緒に、一歩ずつ、準備から楽しんでみませんか?
富士登山にチャレンジするスタッフ
初心者スタッフの富士登山準備ログ
連載一覧
※順次公開していきます!
富士登山の「現実」
富士山は「山」ではない、巨大な「独立峰」
富士山は美しく、登ってみたいと思う方も多い日本一の標高の山。しかし、他の山と決定的に違う「過酷な環境」についてはみなさんご存知でしょうか?
毎年、軽装備で入山したために自力での下山が困難となり、遭難してしまうケースが後を絶ちません。一生の思い出を安全なものにするために、万全の準備を整えて登山に臨みましょう。


1. 標高と気温のリアル
「地上は夏、山頂は真冬」の方程式
標高が100m上がると気温は0.6℃下がる。地上(30℃)のとき、山頂(3776m)は計算上で約7℃。さらに風速1mにつき体感温度は1℃下がるため、山頂で風が吹けば体感は氷点下になるという現実。
また、酸素の薄さ山頂の酸素濃度は地上の約3分の2と過酷な環境なのです。
2. 逃げ場のない直射日光と強風
五合目以上は高い木がない「森林限界」を超えているため、日差しを遮る場所がありません。天候が荒れた際、風を遮るものがないため、ウェアの性能が非常に重要になってきます。

標高3,776mの世界では、地上とは比較にならないほど空気が薄くなります。日本一の山に挑む以上、高山病への正しい知識と対策を備えておくことは、装備を揃えるのと同じくらい重要です。
特に夏の富士山で最も警戒すべきは、寒さによる「低体温症」です。軽装備のまま雨や風に晒されれば、体温は急激に奪われ、一気に自力行動が不可能な状態へと陥ります。標高3,000mを超える世界では、たとえ真夏であっても「凍死」のリスクが隣り合わせであることを決して忘れてはいけません。
確かな装備を揃え、十分に余裕を持ったスケジュールと万全の体調で、日本一の頂(いただき)に挑みましょう。

もっちゃん
友達がスニーカーで登ってきたって言ってたし、意外と何とかなりそうだと思ってたけどちょっと不安になってきたかも・・・?

池ちゃん
アウトドアブランドじゃないレインウェアで何とかなる気がしてたけど、やっぱりちゃんとしたの買った方がいいのかな・・

もっちゃん
もう登頂してご来光見ることしか考えてなかったけど・・・誰かに聞いてみないと不安だね・・・

池ちゃん
ね・・・
気合十分の二人でしたが、富士山をなめてかかると命に関わると聞き、さっそく去年登った先輩に富士登山についてお話を聞きました。
実際に登頂した先輩に学ぶ、
今回、富士登山について教えてくれたのは
渋谷スクランブルスクエア店
STAFF|ためめ
登山歴10年。
北アルプスや八ヶ岳が好きで、登山を始めてから険しい「戸隠山」に毎年登り続けている実力派スタッフ。昨年の富士登山経験に基づく、「富士登山のリアル」を教えてくれます。

ためめさんからリモートでお話を伺うことに。昨年(2025年)、吉田ルートを日帰りで登頂した時の写真を見せてもらいながら、当時のリアルな体験談を聞きました。


ためめ
まずは、私が実際に登った当日の流れをお話しします。
昨年登ったのは一番人気の富士吉田ルート。
始発のシャトルバスで五合目に着いたのは朝4時で、外はまだ真っ暗でした。
五合目に着く少し手前でちょうど日の出を迎え、朝焼けに染まる赤い富士山も見れて、ここからあの頂上を目指すのかって、すごくアドレナリンが出てきて、ドキドキワクワクしました。
高山病のリスクを避けるため、私たちはここで1時間半くらい滞在して、朝ごはんを食べたり準備体操をしたり、しっかり体を慣らしてから6時に登山スタートしました。
最初は森林に囲まれた穏やかな道で、30分ほどで六合目に到着。
そこからは樹林帯を抜けて、ひたすら頂上を目指す岩場の道。突然の土砂降りでレインウェアをフル装備したかと思えば、急に晴れ間が見えたり……。
本八合目を過ぎると、いよいよ鳥居が見えてきて神聖な雰囲気が漂い、12時40分。ついに念願の頂上に到着しました!
…ただ、山頂でお昼を食べていたら、今度は激しい落雷と雹(ひょう)に見舞われて。山小屋に1時間ほど避難しましたが、あの雷鳴と雨量は本当に怖かったです。山の天気は最後まで油断できませんでした。

時刻 | 場所・ポイント | 内容・状況 |
|---|---|---|
4:00 | 五合目 到着 | 始発バスで到着。高度順応のため1時間半ほど滞在。 |
6:04 | 五合目 出発 | 登山開始!森林に囲まれた穏やかな道。 |
6:33 | 六合目 | 最初の山小屋に到着。 |
7:27 | 七合目 | 本格的な岩場区間に。 |
9:00 | 八合目 | 標高3,000m超え。 |
11:04 | 本八合目 | いよいよ山頂エリアへ。 |
12:40 | 富士山頂 到着! | 登頂成功!!久須志神社にお参り。 |
13:00頃 | 山頂 山小屋 | 昼食。落雷と猛烈な雨・雹が発生。1時間避難待機。 |
14:30 | 下山開始 | お鉢巡りは断念し、下山専用道へ。 |
16:50 | 五合目 帰還 | 無事下山! |
池ちゃん
五合目から山頂までは、何時間ぐらいかかったんですか?

ためめ
だいたい6時間半ですね。高山病にならないよう、意識的に休憩や水分補給をたくさん取ったので、時間はかかった方だと思います。
池ちゃん
五合目に到着してからすぐには登らずに、まずは体を慣らすんですね。

ためめ
そうなんです。バスを降りてすぐに登り始める方もいらっしゃいますが、五合目ですでに平地より酸素が25%ほど薄くなっているため、高山病のリスクが高まってしまいます。お土産屋さんも開いていたのであっという間に楽しく過ごすことができました。
ちなみに、入山の手続きは現地でも可能ですが、混雑する事もあるので事前に富士登山のマナーも勉強して、入山料の支払いを済ませておくのがおすすめです。五合目入り口で、スマホに届いたQRコードを見せるだけでリストバンドが受け取れるので、スムーズにスタートができます。

もっちゃん
登っている途中に山小屋ってたくさんあるんですか?

ためめ
七合目くらいまでは「あ、また出てきた」って思うくらいあります。適度な間隔で現れる山小屋を目標にがんばれました。暑くて汗だらだらかいて、灼熱の直射日光に心が折れそうなとき、山小屋で飲んだアイスコーヒーがめちゃくちゃ美味しくてすごく生き返りました。 でも八合目の「元祖室」を過ぎると、そこから山頂までの約2時間はほぼ何もなくて…。永遠に続くジグザグの道で…。
池ちゃん
じゃあ、八合目からが勝負ですね…。

ためめ
山頂がずっと見えているのに、ジグザグの繰り返しで登るので、歩いても歩いても辿り着かない感覚に、気持ちが折れそうになり、本当に修行のようなかんじでした。

もっちゃん
日焼け対策はどうされてました?

ためめ
私は、キャップ被って手ぬぐいを巻いていました。アウトドアリサーチの
もっちゃん
ちゃんと対策しないと耳とか焼けそうですよね…。

ためめ
あとは休憩のたびに日焼け止めを塗ってたんですけど、汗かいて取れてっちゃうので、ウェアで紫外線カットが入ってるものを着用するとか、顔を覆うアーバーチューブみたいのがあるといいかなと思います。
池ちゃん
事前に体力的な準備はしましたか?

ためめ
私は普段から釣りで岩場を歩き回っているので今回は平気でしたが、運動習慣がないと辛いと思います。 20歳の時に初めて登った時は山登りもしてなくて、しかもスニーカーで登って…。その経験があったからこそ、今回、体力としっかり装備を整えて挑んだら『こんなに楽なんだ!』と驚きました。富士山を楽しむなら、事前の準備は本当に大事だと思います。
池ちゃん
「体力と装備」。しっかり準備しなくちゃ。
もっちゃん
お話を聞いて、実際に富士山に登ったイメージがしやすかったです!大変なこともあるけど、それ以上の感動がありそうでドキドキワクワクしてきました!

ためめ
水分補給や休憩、歩く速度など自分のペースを守ることが重要です。
富士山は決して簡単な山ではないですが、景色と登頂後の達成感は他の山では味わえないものがあります。日本一の景色、ぜひ見に行ってほしいです!

次回、富士登山の持ち物を学ぶ。
富士山登山口の基礎知識
登山口によっても、登山の難易度が変わってきます。
アプローチだけで判断するのは禁物。
自身の経験に合わせた登山口を選びましょう。
「一番人気!初心者でも安心の王道ルート」
吉田ルート
山梨県側:富士スバルライン五合目
- 【特徴】
登山客の約6割が利用する最もメジャーなルート。 - 【メリット】
山小屋や救護所が多く、初心者でも安心感がある。 登りと下りの道が別なので、すれ違いのストレスが少ない - 【デメリット】
非常に混雑する。 特にシーズン中の山頂付近は渋滞が発生しやすい。 - 【目安時間】
登り 約6時間 / 下り 約4時間
「最短距離で一気に登る、最高峰に一番近いルート」
富士宮ルート
静岡県側:富士宮口五合目
- 【特徴】
4ルートの中で最も標高の高い場所からスタートする。 - 【メリット】
山頂までの距離が最短。富士山最高地点の「剣ヶ峰」に最も近い。 - 【デメリット】
傾斜が急で岩場が多い。登りと下りが同じ道なので、混雑時は道を譲り合う必要がある。 - 【目安時間】
登り 約5時間 / 下り 約3時間
「緑豊かな樹林帯と、砂走りが楽しめる通なルート」
須走ルート
静岡県側:須走口五合目
- 【特徴】
最初は樹林帯から始まり、変化に富んだ景色が楽しめる。 - 【メリット】
八合目まで日陰があり、涼しく登れる。 下山時の「砂走り(ふかふかの砂地を一気に駆け下りる)」が快感。 - 【デメリット】
樹林帯は夜間や霧の時に道に迷いやすい。本八合目から上は吉田ルートと合流するため、急に混雑する。 - 【目安時間】
登り 約6時間 / 下り 約3時間
「静かな山歩きができる、体力自慢の上級者ルート」
御殿場ルート
静岡県側:御殿場口新五合目
- 【特徴】
最も低い標高からスタートするため、標高差が大きく距離も非常に長い。 - 【メリット】
登山者が少なく、自分のペースで静かに登れる。 下山の「大砂走り」がダイナミックで有名。 - 【デメリット】
山小屋が極端に少なく、トイレや補給が困難。 日影が全くないため、体力消耗が激しい。 - 【目安時間】
登り 約7〜9時間 / 下り 約3〜4時間








